この家は、昭和の新興住宅街、傾斜のある旗竿地に建つ。
日本画家である祖父の家を引き継いだクライアントのリノベーションである。
南側外観。玄関ポーチを掘り下げ段差を減らし、旗竿型のアプローチに駐車スペースを確保した。
主室。
元の床の間は基礎を兼ねた大テーブルとなり、家族の活動を受け止める。
ワンルーム化により気積が増えたので、土間には温水床暖房を打ち込んでいる。
室内には建築時の基礎が露出し、身を置くと地面に沈むような印象を受ける。
外皮とサッシはすべて残し、柱と梁は露出させた。
掘り下げた床から周囲を見上げると、先代の残した外皮と構造、新規の補強や間仕切りがレイヤーとなり、家族の歴史を写す景色となる。
掘り下げた令和の床から、元の窓や梁を見上げる。
鉄骨階段は梁から吊ることで室内の見通しをよくしている。
構造と施工時期を可視化することで、トラブルの発見と次代の改修を楽にさせることだろう。
段階的な補強ができる範囲が広がり、将来にわたっての構造の健全化と動線の自由度を両立した。
階段を移動させ、小屋裏も2階に取り込んだ。2階新規の間仕切りは家具のように構造から切り離し 可変性を高めた。
和室は元の様子に近づけた。床の間に祖父の作品を飾る。
掘り下げた玄関。
内と外のバッファーゾーン。
用途 専用住宅 撮影 小島康敬 施工 エムエス工務 照明 大光電機 石堂伸悟 今西江梨子
Featured 住宅特集 2025年2月号 住人十色