メゾネットタイプのマンションリノベーションである。空間の連続性を持たせ一体的な利用ができるようにするため、生活の中心部分は間仕切壁をすべて取払うことにした。既存間取りには東西南北どの方位にも開口があったため、計画プランではあまりに差し込む光は饒舌になることが予想された。
『光は、言葉のように限りなく変容する。その無限の豊かさにおいて、光は自然のシンボルになっている』(原広司)自然のシンボルである光によって室内に光の 移ろいや穏やかさを与えたかった。そこで、乱雑に存在する既存開口を南・北だけ残して、あとはアート操作を加えた建具状のパネルで覆い、差し込む光を順光に整えた。
この空間は素材の粒度や均質さなど、粒感に注意して構成した。室全体を包み込むようにグレーで覆うこと、シームレスな空間構成にすることで現れる抽象性が沈黙の世界を作り出している。
用途 専用住宅 撮影 笹の倉舎 笹倉洋平 施工 エムエス工務